春。桜の季節。桜と言えば、まさに「桜色」と呼ばれる淡いピンク色の花が満開に咲く様が思い浮かぶ。そんな桜には晴れが似合うと思うのだけれど、雨なら雨で、良い。特に白い桜の花が雨に濡れている様はみずみずしくて、特にきれいだと思う。
本当は、雨粒を載った葉に雨が一筋落ちて「はじける」ような絵を撮りたかった。けれども、それを目視してからシャッターを切っても絶対に間に合わないよね。そんな瞬間、いつ来るかも分からないのだから、やたらめっぽう連写モードで電池が切れるまでシャッターを切りまくれば撮れたかもしれないけれど、なんだろう、それは嫌らしいというか、被写体に対する敬意を失ってしまうような気がして、やらなかった。まあ、やったらやったで望みの絵が撮れたかどうかは分からないけれども。
雨を「写す」のは難しい。それ自体は物理的には単なる水で、それが降る様はスローシャッターで滝のような絵として写せば写る。でも、その絵が欲しい人って滅多にいないよね。普通は雨の日の冷たい湿気を帯びた空気とか、サァーと降りしきる静かで一定な雨音とか、そういう感覚を写したいのだと思う。なので物理的に雨を写す必要は無く、むしろ雨が降っていることを気付かせるような演出の方が、雨の日の雰囲気を伝えるには有効なのだと思っている。
写真というものには、まだまだ、まだまだ、学ぶことがあるなあと思う。