写真の中で、被写体と背景(コンテキスト)を上手く分離する方法について、つれづれに素人が書いてみる。
主役と背景を分離する方法には色々あると思う。一番キャッチーで分かりやすいのは、被写界深度を浅くすることで背景をボケさせる方法だろう。一輪の美しい花など、魅力的な主題を大きくストレートに写すようなパターンで効果的だと思う:
ただ、いかんせん背景の情報が薄くなるので「ただのソレの写真」という印象になりがち。上手な写真にはなっても、面白い写真にはなりにくいと思っている。また主題も背景も、ある程度ディテールのあるモノでないと使えない…なにせ「ボケている」と分からなければテクニックとして成立しないのだから。のっぺり単調な「ベタ塗り」状のモノを撮る場合、明暗の差(コントラスト)を作り出す手もあると思う。以前、ガラス窓に止まった虫を撮るときに、窓枠の映り込みがちょうど虫の後ろ側に来るよう角度調整したことがある。これは被写体と背景の明暗差を作る一例になるかな:
しかし。被写体が遠く大きいと被写界深度は使えない。明暗差も条件によっては作り出せないこともある。そうなると、最後の手段は色の違いで分離することだろうか。でもこれは明暗差の無い、均質で単調な光の写真なので退屈になると思う:
明暗差が無い写真は個人的趣向において一つ大きな弱点があって、モノクロ写真にすると何が何だか分からなくなること…。
ちなみにこの写真は、本格的なカメラ(OLYMPUS E-M1)を買って最初に撮りに出かけた箱根での一枚。写真趣味一日目。色でしか分離できない例を今まで撮った写真から探したところ、この一枚にまでさかのぼってしまった。ここまで例が無いとは思わなかったなぁ…。
さて。しかし色ですら分離できないとなると、もう無理だと思う。次の写真の松は、どうしようにも自分には分離できなかった。
写り込みだけを撮れば良いという考えもあると思うけれど、欲しかった絵は上下対称に松が並んだ絵だったのでダメかな。どうすれば良かったのか。たぶん「どうしようもなかった」のだと思うけれど、どうなんだろうな。