Leica SLの発売を聞いて、電子ビューファインダー(EVF)で使われている液晶の解像度(DPI)をE-M1と比較計算しようとしていたのだけれど、改めて調べてみると意味のある計算はできないような気がしてきた。「スマホの画面」などと違い、どうやら液晶の解像度ではEVFの性能を語れないように思える。
ファインダーの性能に関する数字でよく出てくるのは次の2つ。
- 視野率
- 倍率
ファインダーの視野率は、「撮影すると実際に記録される映像の範囲を100%としたとき、その何パーセントがファインダーを通して見えるのか」。EVF搭載機は、おそらく全機種とも視野率100%だろう。なのでEVFに限った場合、この数字は意味を失いつつあるんじゃあないかと想像している。
ファインダー倍率は、ファインダーを通して見える像の大きさを表している。つまり、より大きく見えた方が撮影しやすいので、倍率の大きなファインダー=良いファインダーである、という話。なお厳密には「焦点距離が50mmのレンズを装着してファインダーをのぞいた場合に、ファインダーに写る像の大きさが肉眼で見える像の大きさの何倍に相当するか」らしく、撮像素子サイズの影響を無くすため35mmフィルム換算のファインダー倍率がよく使われている。これはEVFでも意味のある数字なので、現在も各社こぞってこの数字を競い合っている。
で、視野率も倍率も、ファインダーを通して見える映像の「精細さ」という指標ではない。光学式ビューファインダー(OVF)だったらどうかと想像すると、おそらくファインダーに使うレンズ(光学系)の解像性能がソレになると思う。ただ、OVF搭載機のカタログなどでそこをアピールしている事例を見た記憶が無いので、今の技術水準では問題にならないのかな。EVFの場合、これは搭載している液晶画面の解像度(画素密度)がソレになると思う。だから、最初に書いた通り比較計算してみようと考えたわけだ。
改めて考えると、EVFの精細さが液晶パネルの解像度で決まるとしても、液晶パネルがEVFの「のぞき窓」からどの程度の距離に配置されているか、その間にある光学系での拡大率はどの程度か、などをすべて考えて条件を整えてやらないと他機種との比較はできない。ということは、「同じメーカーの同じシリーズの後継機がより解像度の高いEVFを搭載しました」であれば、まだ解像度の数字を比較する意味がありそうだけれど(ファインダー内の光学系などが同一である可能性が高いから)、他メーカーの機種との比較はほとんど無意味な気がする。
計算したら、ちょっと面白いかなと思っていたので少し肩すかしというか、残念な気分だ。まあ、一つ勉強になったということで。