5月4日、代々木体育館を撮りに行ってきた。
代々木第一体育館。建築家、丹下健三の作。上から見ると「巴」型をした構造物で、有事の際に全員が避難するとしても5分で済むよう設計されたとか。その設計の機能性もさることながら、吊られた屋根の曲線美には一度見れば二度と忘れない圧倒的な印象がある。テレビ越しには何度も見ていたけれど、実物のスケールで見るとやはり印象は異なり、「凄み」を感じる。
建築のド素人である自分は当初、高い二本の柱に屋根が吊るされているのだと思っていたのだけれど、後で調べると違っていた。ワイヤーを2本の柱の上部に引っかけて引くと、ワイヤー中央のあたりが上方向に持ち上がる。この上向きの力で屋根を持ち上げ、宙づりにしているらしい。上の写真に写っている、右下から柱に向かう2本のワイヤーがそれ。なるほど、建築の世界も面白い。
さて本題の、屋根の曲線。建築の造形は、建造された大きさで人が見る前提で設計するのだろうと思う。実際のスケールで見ると美しさだけでなく力強さといった印象も加わり、より素晴らしいと感じる。できる限り美しく感じる角度を探し、3枚撮った。
この写真は3枚撮ったうちの2枚目。1枚目と迷った結果、2枚目を取ることにした。1枚目は屋根を、2枚目と3枚目は空を意識して構図を取ったのだけれど、その差はわずか。どちらが良いか5人に聞いてみたところ完全に二分してしまった。ただ、3人ほどは「建築の写真か空の写真か」が違いだと分かったので、どうやら何を撮ったのかという意図は伝えられたようだった。とりあえず、その点は良かったと思う。
曲線といえば、例のワイヤーも曲線を描いている。どんなものかと思って体育館の入り口からワイヤーを見上げると、個人的趣向からして「好み」の曲線を描いていると思った。なので、できる限り遠近感が出るよう、ワイヤーを引き続けているアンカー(錨)の位置まで下がり、ワイヤーの曲線を撮った。
実はこの日、換算35mm(17mm)のレンズも持っていたのだけれど換算50mmだけで撮ることにした。というのも仮に超広角レンズを持っていたとしても地上に立って撮影する以上、どうしてもこの巨大な建築の「どこを切り取るか」という話になると思う。であれば、一番慣れている50mmを使うのが最善かなと思った次第。特に最後の一枚は、絵的に広角レンズで遠近感を強調した方が「楽」だと分かっていたが、試しに広角を使うこともしなかった。まあ、ともかく、50mmでこれぐらいに遠近感ある絵を作れていれば、自分的には満足かなあ。
使用機材メモ
- Olympus OM-D E-M1
- Voigtlander Nokton 25mm F0.95