ずいぶん前になるけれども4月の4日。東京駅から千鳥ヶ淵まで歩きつつ、桜を撮ってきた。今日はそれについて。
東京駅を出てゆっくりと皇居のお堀にぶつかるまで歩き、そこからぐるりと右回りに歩き始める。あいにくの曇り空だったものの4月最初の土曜日ということもあってか観光客は多かった。…自分も含めて。
皇居のお堀の周りには柳の木が多くあり、風に吹かれて揺れていた。皇居正門を通り過ぎたところ、堀の向こう側に桜があることに気が付いた。あまり鮮やかな色合いではない桜。これと柳を同時に収めたらどうなるか、柳が桜に負けるか、どうなるか。カメラを構え、風に揺れる柳の葉が桜と重ならない瞬間を狙って撮影してみた。
思ったより桜の色彩が抑えめすぎて、桜の存在感が希薄だった。なのでLightroomで少しだけ桜の彩度を上げてある。振り返ってみると「風を感じる絵かどうか」を重視してシャッターを切った方が良かったな。また少し縦方向に間延びしている印象があるので、もう少し背伸びして桜と柳を多少重ねた上で3:2の比率で撮ったら良かったかも。まあともあれ。見る人が少しでも風を感じてくれればいいな、と思う。
さて堀に沿ってそのまま桜田門から出て、今度は桜田濠に沿って歩道を歩く。しばらくすると少数の桜の木が歩道のすぐ側に。その桜を観察すると花が一つだけ残った房(?)があり、その花は痛んでおらず形も綺麗だった。これは撮るしかない。皇居ランナーや観光客がすぐ脇を通り過ぎる中、風に揺れる桜の花を捉えるべく、集中してシャッターを切る。
この写真、実は最初にf/0.95で撮った後でf/1.4で撮り直している。使ったレンズはVoigtlandër Nokton 25mm F0.95。絞り開放では独特の「溶けてにじむ」ような描写をすることで有名だけれど、同時にピント面のシャープさも無かったりする。そのため良く言えば「幻想的」、悪く言えば「しまりが無い」写真になる。桜の花がたくさん付いたところをふんわり撮るならその描写もマッチするかもしれないけれど、明確な主役がいるこの写真では逆に悪い演出になってしまうと感じた(ちなみにf/0.95での作例は下に)。Nokton 25mmというレンズ、マニュアルフォーカス時は最低でもf/1.4、できればf/2.0まで絞らないとピント位置がつかみづらいと思う。これも個性ということで、愉しいものではある。
さておき。千鳥ヶ淵に着くと花見客で大賑わいだった。そこら中で宴会。ゆっくり桜の写真を撮るような雰囲気ではないため足早に歩いていたところ、あっという間に千鳥ヶ淵公園を出てしまった。そのまま惰性でお堀を渡って少し歩いたところ、道ばたに小さな花が咲いているのに気がついた。何の花だろう?分からないけれど、かわいい花だしNoktonの開放絞りの描写がマッチするかもしれない。気合いを入れ、絞りを開放しつつ、ぐっと寄って撮ってみた。
なんというか、面白い映像だ。ぼけている、というよりも、ぼんやりしているというか。絞り開放時のピント面すらもシャープに写らない(スペック主義者的に言うと)「弱点」が、この雰囲気をより演出しているような気もする。なおもっと花に寄って撮りたかったけれど、物理的に難しかったので妥協。
機材メモ
- Olympus OM-D E-M1
- Voigtlander Nokton 25mm F0.95