写真はRAWで撮っておくと後からの現像処理で色々と挽回できて良い…という話はよく聞くけれども、具体的な自分自身の体験ができたので記録しておく。話のキーワードは、ダイナミックレンジ、HDRあたり。
具体的経験
2014年11月30日、高松の栗林公園で紅葉ライトアップをやっており、観光で訪れた。あいにくの雨だった。しかし雨ゆえに、ライトアップされたモミジの葉に反射・拡散した光線が周囲を染め、後光というか、オーラのようなモノを放っているかのような光景になっていた。このいわば「オーラ感」を印象通りに残そうと普通に撮影したところ、ライトアップされた葉の表面などは完璧に白飛びしてしまい、残念な写真になってしまった:
かといって白飛びを防ぐように撮影すると周囲に拡散する反射光線が見えなくなり、肝心な「オーラ感」がまったく無い写真になってしまう。そこで、撮影結果として残したい画(最初のオーラ感のあるもの)よりも露出不足の写真をあえて追加で撮影し、後から現像処理で明るさなどを持ち上げて印象通りの「オーラ感」のある画に仕上げてみることにした。なので、まずはあえて「オーラ感は無いが白飛びはしていない編集素材用の写真」を撮影し:
これを、最初に撮影した写真と見比べながら現像パラメータでパラメータを細かく調整して「オーラ感」を再現してみた:
結果、葉の派手な白飛びを抑えつつ「オーラ感」を再現することができたと思う。なお、明るさ関連のパラメータをかなり派手に編集することになるため、EXIFに残っている絞り値やシャッタースピードなどは(その通りに設定して写真を撮ってもその画にならないという意味で)参考にならない値になってしまう。ここまで派手に変更した場合、絞りなどの情報はEXIFから落とした方が良いかもしれない。
まとめ
今回の話をまとめると:
- 非常に明るいモミジの表面と、暗い「オーラ」を同時に撮影したい
- 一方が最適になる露出では他方が不適切な明るさになる(白飛びあるいは暗すぎて見えない)
という状況下で、あえて暗めの写真を撮影しておき、現像処理を頑張ることで課題をクリアした、という話。
余談
この課題は、カメラが表現する明るさの範囲(ダイナミックレンジ)を変更する機能を使えば、その場で解決できたと思う。具体的には、HDR (High Dynamic Range)と、E-M1の「ハイライト&シャドウコントロール」機能。ただ、E-M1のHDR機能では細かいパラメータ調整が不可能なのでイメージ通りに撮影するのは難しかったかもしれない(今回のケースはHDRを適用する典型的シーンではない)。またE-M1の「ハイライト&シャドウコントロール」機能はベストマッチだったと思うけれども、その効果はJPEGデータにのみ適用される(RAWデータに適用されない)ことを考えると、後でRAW現像する前提で撮影するつもりだったため、使えなかったと思う。