先日、中国で発生しはじめたストライキに関するTVニュースを見ました。「ふーむ中国のバブルもそろそろか」などと思うのは良いとして(?)、そこで思った戯れ言を記録しておきます。
私は世代が異なるので上の世代から聞いた話になりますが、「ベースアップ」の頃の日本では労働者が個人レベルで会社組織と闘うことはまず無く、労働組合が表に立って組織対組織(労使)の交渉を行っていたとのことです。したがってストライキは労働組合というソリッドな組織体の行動だったと思います。しかし、現在の中国で起こっているストライキはまったく話が違っており、組織ではない個々の労働者がインターネットと携帯電話を使って連絡を取り合って行われているそうです。そして労働組合のような組織が無い=交渉相手がいないため会社としては要求への対処が非常に行いにくいのだそうです。
米国の「テロとの戦い」と話の内容は似ているように思います。テロの話では、全体としてみると組織ではないように見えても実際はある程度の組織構造がある、という話に決着したと思います。同じく、今回の中国で起こっているストライキについても個々のケースを細かく観察すれば、運動方針に大きな影響を与えている人間が見つかるのではないかと思います。つまり、少なくとも「いつのまにかリーダーになっている」自然発生的リーダー達の元に、多くの人が賛同して集まっている形で組織が形成されているのだろうと。本当に個々バラバラな集合体が一つの意思を形成することは無いと思いますからね。
思うに、まず重要な1点目は、どちらのケースでも組織運営がインターネット上で行われているために従来の対処ではうまくいかないという点です。組織の運営がインターネット上で行われているために、従来の組織のつもりで対応しようとするとうまくいかないのかなと思います(表社会と裏社会に加えてネット社会も意識しないとダメなのでしょうかね)。2点目は、テロと違ってストの方では元々組織ではない個人が集まって組織化し、組織として機能している点です。インターネットがコミュニケーションの行いやすさを劇的に改善し、従来よりも「手軽に」組織を作れるようになったことが背景かなと考えています(きっと、ストを起こすぐらいであれば携帯電話用掲示板で事足りますよね)。
善し悪しの話ではなく、起こっていることを客観的に分析・理解しておきたいと思う今日この頃です。